2010.03.08 Monday/
◎北教組のカネと戦闘力
教組の中でも急進的とされる「北教組」。その幹部が選挙とカネをめぐる疑惑で逮捕
された。北教組は「不当逮捕」を訴え闘う姿勢を見せるが、どう不当なのかの説明はない。
外は肌を刺す寒さだが、建物内は妙な熱気が漂っていた。
違法な政治資金を提供した疑いで最高幹部3人が逮捕された北海道教職員組合(北教組)。本部のある札幌市内のビルを訪れると、そこには時代錯誤とも思える「闘う労組」の面影があった。
(略)
AERA 平成22年3月8日 より引用
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闘わない労組が「時代」に適合してきたばかりに、現代日本の労働者の地位は低くなった。
そういったら、AERAは何というのだろうか?
何が「不当」なのかは「時代」に適合してきたAERAには一生分からないだろう。
それが甘ったれた現代のマスコミの限界なのだ。
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§ 「違法」の逆転
教員は「聖職」だから献金を禁止したのか?
或いは労働組合費という強制加入・組合費天引き等を理由に献金を禁止したのか?
恐らくそのどちらも極めて「時代的」「政治的」に決められたルールであろう。
そもそも教員を「聖職」とする合理的根拠はどこにもない。
教職を離れれば一人の労働者に過ぎないのに、高いハードルを押しつけて精神的な檻に閉じこめようとするおためごかしのリップサービスでごまかしたのだろう。
また、労働組合の組合費の性質に違法根拠を見いだすのであれば、企業献金は更に悪質である。
何故か?
労組が献金する相手は「労働者の声を代弁してくれる人への献金」である。
とすれば、労組の資金の使われ方としての政治献金は、労働者不在とはいえ、一応労働者自身のための献金という外形が備わっている。
だが、企業・経団連がする献金は「労働者」が稼いだ利益を「経営者の都合の良い社会にしてくれる人への献金」に使われる事になる。
労働者不在もいいところだ。
そういった「代弁者の偏り」を見ながら、批判は出てこなかった。
いや・・・批判はあったのだが、マスコミが取り上げなかった。
理由は、マスコミのスポンサーが大手企業の経営陣だからだ。
日本人は長らく「企業の代弁者」に包囲されてきたと言える。
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§ 「違法」とされた時代背景
下級審が「現業」の公務員の「勤務時間外」「国の施設を使わない」かつ「公務員という地位を利用しない」政治的活動について「合憲」として認める判断をしていたのに対して、それまで比較的リベラルな判断をしていた最高裁は、判断を極めて「反」自由主義的な方向に転換した。
それは、安保闘争や頻発する労働争議などに直面し、このまま「過ぎた自由」を放置すれば日本がおかしくなっていくに違いないと考えたためだろう。
そう。
最高裁は極めて高度に「政治的」な判断に基づいて新しい規範(判例)を立てたのだ。
それはそれで仕方がない部分があった。
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§ 新「時代錯誤」の台頭
それからもう50年以上も時間が経って、「時代に適合」したおとなしいだけの労働組合が普通になった。
すると、今度は企業の経営が苦しくなり、労働者の地位は不安定になってきた。
ただおとなしいだけの労組は何も「闘」わず、企業の論理に押し切られた。
結果はごらんの通り、経営リスクを派遣労働者に押しつけても文句が言われない「経営陣天国」の状態になった。
そこで労組は社民党ではなく民主党に「労働者の代弁者」になってもらおうとし、支援した。
民主党が力をつけてきたのは、その為である。
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§ 「上層部」との癒着
自民党は事あるごとに日教組や官公労を批判し、それらを支持母体に持つ民主党を批判したのは「経営陣の代弁者」という立場をとるからだ。
だが・・・その自民党と言えば、民主党が「政治主導」を掲げて闘ってきたというのに、「官僚主導」政治を遂に否定しなかった政党である。
自民党が守る相手は民間企業で言えば「大企業の経営陣」であり、省庁で言えば「高級官僚」であったから、「官僚主導」を否定せず「労働者保護」については曖昧に徹していたのだ。
つい最近も似たような構図がありましたね?
そう。トヨタのリコール問題です。
「被害を受けた」とされる人々の声よりも「政府同士で話をつける」という居丈高な目線なのだ。
もう少し前の話をすれば、耐震強度偽装事件の時もそうでした。
国民不在の政治がまかり通ってきた自民党体質は、古いも新しいも無い。今も全く変わっていない事がわかるだろう。
だから、「事業仕分け」で高級官僚の天下り先が仕事をもらえなくなると、自民党は一斉に批判し始めた。
自民党の正体はそれでバレたが、マスコミはそれを「政治とカネ」に関する大量の報道で国民の目を逸らさせた。
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§ 洗脳されきった国民
北海道教職員組合が違法な献金をしたというのが事実であったら、たとえその「違法」という根拠が企業献金・経団連による献金と比べて著しく扱いが不公正・不平等であっても、マスコミや自民党は声を大にして批判するだろう。
国民も「違法」という言葉につられて「悪いことをしたんだ」と思うに違いない。
だが、私の感覚は違う。
「悪法も法」という立場を私は取らない。
先にも言ったように、「大企業の経営陣の立場を代弁する人々への献金」が違法とされない一方で、「労働者の立場を代弁する人々への献金」が違法とされるのは、公正さを著しく欠くと判断するからだ。
よって、今回の検挙は法の下の平等(憲法第14条)に反する違憲的取り扱いと言える。
日本の裁判所が人権主義思想に目覚めたならば、今回の検挙を「違憲」と判断しないとも限らない。
北海道教職員組合が言う「不当」と、私の考える「不当」が同じかどうかは分からないが、少なくともマスコミの作った論調には同調しかねる・・・というのが主権者としての私の判断である。
注)『当プログに対するコメント投稿上の注意』
政治とカネ・政治資金規正法関連 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0)