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裁判員制度の「儀式化」をもくろむ人々

JUGEMテーマ:ニュース


◎ 裁判員事件、初の逆転有罪=「一審証拠評価に誤り」―覚せい剤密輸・東京高裁


 覚せい剤を密輸入したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われ、裁判員裁判で無罪とされた会社役員安西喜久夫被告(60)の控訴審判決が30日、東京高裁であり、小倉正三裁判長は「一審判決は証拠の評価を誤り、事実を誤認した」として、一審千葉地裁判決を破棄し、懲役10年、罰金600万円(一審求刑懲役12年、罰金600万円)の逆転有罪を言い渡した。
 
 裁判員裁判で初の全面無罪事件で、検察側が控訴していた。一審裁判員裁判事件の逆転有罪判決は初めて。弁護側は即日上告した。
 
 
 被告が持ち込んだボストンバッグ内のチョコレート缶に、覚せい剤が入っていることを認識していたかが争点だった。一審判決は検察側が挙げた六つの状況証拠について、それぞれ「認識を裏付けるとは言えない」と判断したが、小倉裁判長はいずれも裏付け証拠と認定し、一審の証拠評価は誤りだと指摘した。
 
 同裁判長は、チョコレート缶を受け取った経緯などについて、被告の供述は不自然に変遷しており、「約束されていた報酬は、偽造パスポートの持ち込みに対するものだった」という説明は信用できないとした。さらに、持ち込みを依頼されたイラン人の存在を隠していたことや、税関で覚せい剤が発見された際も驚いた様子を見せなかったことなどから、被告は覚せい剤だと知っていたと結論付けた。
 
 判決後に会見した弁護人は「裁判員の判断を否定しており、制度の意義そのものが問われかねない」と批判した。
 
 渡辺恵一東京高検次席検事の話 控訴審で検察側の主張が認められたもので、適正・妥当な判決と考える。

時事通信 平成23年3月30日 より全文引用


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 前々からこういう懸念はあった。
 
 こういう懸念…とは、裁判員裁判における判断が高裁で否定されるという事。
 
 無論、裁判官だけで行われてきた今までの裁判においても逆転判決が無かった訳ではない。
 
 だが、こと刑事司法においてはそういう事例は少なかった様に思う。(あくまで私の個人的感覚による。データは持ち合わせていない)
 
 
 
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 この判決の問題点は検察審査会のものとは根底部分で異なる。
 
 検察審査会は裁判員の様に顔をさらす訳でもないので無責任そのものであり、かつその存在すら不明であり「善良な市民」かどうかも分からない。
 

 また、検察審査会は検察捜査に対して審査するものであり、裁判員の様に両当事者の話を聞く訳でもない。
 
 つまり司法的作用として見れば「極めて不公正」である。

 よって両者を同日には論じられない…という点について注意すべきである。


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 話を戻す。 
 
 こうした事が起こりうる事は前々から分かっていた事である。
 
 つまり、裁判員裁判が上級審で否定された場合の「裁判員制度の存在意義」が問題になるという事だ。
 
 
 私は裁判員制度導入に際して一般市民に法的視野を持たせる点で当初は賛意を示した。
 
 だがその後、裁判員に対して格別な教育訓練が施された訳でもなく「事件」に放り込まれる現状を見る限りにおいて、およそ制度として成立しがたいものを感じてきた。
 
 ただそれでも、法令解釈上の誤りがあっての逆転判決(?…ありうるか?…)という事であれば「裁判員は善良な市民と言えども素人に過ぎない」という事で、裁判員制度を否定する理由にはならない…とは言いうる。
 
 だが、実際に裁判で被告にされた方は辛い。
 
 優秀な私選弁護人をつけられる人がどれくらい居るのか知らないが、経済的負担は無論のこと、精神的負担も相当なものと言えるからであるからだ。
 


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 ところで、今回の逆転判決は「事実認定」の部分に大きく依存する。
 
 逆転判決というものは基本「事実認定」という部分でしか起こりえないのだから当然と言えば当然なのだが、問題なのはこうした事が結構頻繁に起こっている様に思えることだ。
 
 
 裁判員裁判に限らず下級審の判断が裁判官に否定されるという場合、何故その様に「正反対の認定・評価」になるのか?という事が本来のこの問題の「核」なのである。
 
 この手の記事を逐一記録・追跡している訳ではないので確実なことは言えないが、しかし少なからず存在している事から考えれば、「何かが問題になっている」事くらいはわからねばならない。
 
 だが、相変わらずバカマスゴミは「逆転判決」という事に目を奪われ「何故逆転が起こってしまうのか?」という事を追及しない。
 
 かれらは所詮は拡声器であって、ジャーナリズムとはほど遠い存在である事を「今回も」また確認させられる事に、私はいらだちを隠せない。
 
 
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 「何故逆転が起こってしまうのか?」
 
 
 
 この答えは、私は簡単だと思っている。
 
 推定無罪が法廷において機能していないからだが、その理由として上げるのは、裁判所が検察捜査(検面調書)依存主義から脱却できていない点、「客観的証拠」を求める勇気を持っていない点に「答え」を見る。 
 
 この記事からだけで推測できる点を言えば、結局この逆転無罪を言い渡した判断の根拠は「検察官と裁判官の主観」に過ぎない。
 
 イラン人の存在を証明するのは検察官の役割であり、そのイラン人が悪事を依頼していた事を証明するのもまた検察官の役割であるのに、そこへのツッコミはない。
 
 「言わなかったから隠していた」
 
 「供述が不自然に変遷している」
 
 「税関で覚せい剤が発見された際も驚いた様子を見せなかった」
 
 という部分は、半ば小沢氏の事件でも言われた「説明責任の強要」(潔白証明の強要)であり「客観的に裏付ける証拠」を何一つ用意していない検察側の主張を無批判に採用している点が露呈している。
 
 推定無罪の原則から言えば、こんなもん、何の証拠にもなりえない。
 
 
 それでも逆転有罪を言い渡した。
 
 もし覚醒剤持ち込みに関して無罪であったとしたら、警察官・検察官・裁判官はどう贖罪するのか?
 
 恐らく贖罪などしないだろう。
 
 その点マスゴミの言う自浄作用と同様だ。
 
 一方の裁判員の方は「その一回の事件」に責任を感じる為か「推定無罪の原則」を徹底する傾向にありそうだ。
 
 プレッシャーという点ではもしかしたら裁判官の比ではないのかも知れない。
 
  
 無論、全ての事件でそうと言えるかどうかは分からない。
 
 だが少なくとも今回の事件では、検察・警察は捜査を尽くしていないと判断する。
 
 捜査が尽くされていないまま起訴することは違法である。
 
 また、その違法を責めるどころか一緒になって「主観」だけで事件を判断した高裁判決を、私は不当判決と思慮する。
 
 


  
 
注)『当プログに対するコメント投稿上の注意  
 
 

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Comment:
2011/04/09 12:32 AM, - wrote:
管理者の承認待ちコメントです。
2011/04/09 9:46 AM, あすろん1へるつ wrote:
 長文のコメントありがとう御座いました。
 しかしながらメールアドレスが記載されていたのでイタズラ防止の為公開は控えさせていただきました。
2011/06/13 11:59 PM, - wrote:
管理者の承認待ちコメントです。
2011/08/27 10:19 AM, - wrote:
管理者の承認待ちコメントです。
2011/08/30 3:17 PM, - wrote:
管理者の承認待ちコメントです。
2011/08/31 10:23 AM, - wrote:
管理者の承認待ちコメントです。
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