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ドキュメンタリー映画と日本人の表現物と向き合う力

JUGEMテーマ:ニュース


◎映画「靖国」配給会社が「上映延期して」…高知市の映画館・映画会社に

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映問題で、配給会社「アルゴ・ピクチャーズ」が、高知市の映画館・映画会社に対し、上映を延期するよう要請していたことが12日、分かった。また映画の舞台となった靖国神社が「境内での撮影許可の手続きが守られなかった」などとして、李纓(リイン)監督やアルゴ社らに対し、問題とする映像の削除を求める通知を出したことも明らかになった。

 各地で上映中止が相次いだ映画「靖国」の配給会社が、自ら映画館に上映の「自粛」を要請していたことが分かった。

 今月9日、高知市の映画館「あたご劇場」に、アルゴ社から連絡が入った。支配人の水田朝雄さんによると、映画の中心的出演者である高知県在住の刀匠・刈谷直治さんが、自らの出演シーンにナーバスになっていることを理由に「ほとぼりが冷めるまで上映を見合わせてほしい」と告げられたという。

 同劇場は今月4日、アルゴ社に上映の希望を伝え、5月下旬の上映が決定していた。当初は「政治団体の妨害も覚悟していた」という水田さんだが、配給会社からの自粛要請には困惑気味。「刈谷さんが高知の人だとは知らなかった。刈谷さんの問題が解決しないと上映は難しいかも…」と話し、刈谷さんに配慮して上映の延期を受け入れたという。

 同様に、市民団体などから上映会開催の希望が寄せられていた高知市の映画会社「四国文映社」にも、アルゴ社から連絡があり、上映を見合わせているという。

 「靖国」について刀匠の刈谷さん側は、映画の趣旨が、事前の説明と違うとして出演場面の削除を要請している。これに対し李監督は、10日の会見で、自民党・有村治子参院議員を名指しし「(刈谷さんを)変心させた」と主張した。

 アルゴ社は、刈谷さんに配慮し、地元の高知に限り当面の「上映自粛」を要請したようだ。高知以外の映画館には、アルゴ社からの自粛要請の連絡は来ていない。

 広島市の「サロンシネマ」では、5月末から上映する予定。住岡正明支配人は「どんなことがあっても上映する。原爆ドームがある『ヒロシマ』としては、いい悪い、右左ではなく、まず映画を見ていただく環境を提供したい」と述べた。一方で「撮影時と今とは状況が違うので、出演されている方々によっては気の毒な部分があるのも理解できる」とも語った。

 ほか、大阪市の「第七芸術劇場」も予定通り5月10日から上映する意向。映画グループ「フォーラム」(本社・山形市)も、東北4市で上映するという。手続き守らず? 一方で、撮影現場となった靖国神社からも、映画に対しクレームがつけられた。同神社はホームページ上で「境内における撮影許可手続きが順守されていないだけでなく、内容についても事実を誤認させるような映像等が含まれている」と指摘。李監督とアルゴ社らに対し、映像削除などの対応を求める通知を行ったことを明らかにした。

スポーツ報知 平成20年4月13日 より全文引用



 主観と客観、・・・そして、客観と言いつつ主観によって色づけされる事が排除できるのは、この世の中に誰一人いやしない。
 
 この映画について登場している刀匠も靖国神社も「意図に反する」「事実に反する」と訴えて作品の中から自身が映っている映像の削除を要求している。
 
 靖国神社については、更に「撮影許可」という点、刀匠については「映画を見せてもらってない」事が引っかかっている様だ。
 
 本件について、以下、一般論から回り込んで私の考えを申し述べたい。
 
 
 ・・・・・   ・・・・・    ・・・・・    ・・・・・    ・・・・・   ・・・・・
 
 
  「己の主張と他者から見た己の主張」に誤差が生じるのは日常茶飯事である。
 
 そこを議論で埋めるという作業を「協議する」という。
 
 だが、それは「お互いの考えをわかり合うこと」為にする事であり、現状をある人物から観た場合にどう評価されるのかといった「ドキュメント性」を問われる作品においては、やってはいけない。
 
 何故なら、その誤差を測定し、規範をたてて評価する事こそが「ドキュメント」だからである。
 
 例えば、靖国神社。
 
 その存在は、靖国神社固有の主張だけで成立している訳ではない。
 
 あらゆる人々の評価によって「像」が出来るわけである。
 
 その「像」が「虚像」か「実像」か、誰が決めるのか?
 
 「無論、靖国神社だ」というのは誤りである。
 
 何故なら、例えば貴方。
 
 貴方は、自分の思っている貴方が他者に正確に理解されている事があるか?
 
 個人においてもそうは簡単に行かないのに、靖国神社は著名な神社であり、国会議員にも密接に関係する人々が居る。
 
 靖国神社は単体だけではなく、密接に関係する人々によってもその「像」は作られているのである。(無論、その存在について否定的な立場の人々からも作られる)
 
 
 だが、そうはいっても、靖国神社や密接に関係する人々の言動から「相当因果関係」から外れすぎている・・・つまり、根拠無きものがあれば、なるほど「事実を誤認」させた原因は、李監督にあろう。
 
 しかし、「相当因果関係」の範囲内でそういう「誤認」を生む原因が靖国神社、および密接に関係する人々にあったならば、その主張は斟酌すべきではない。
 
 その場合は、言論市場で決着をつけざるを得まい。
 
 そこで「事実誤認の原因が靖国側にある」と靖国神社が認めたならば、その表現方法を改善せねばならない。
 
 そう。あの遊就館の展示物の記述が「反米的」との米国側の指摘を受けて靖国神社側が展示物を変えたように。
 

 一方の「撮影許可」云々は、なるほど妥当な主張である。
 
 だが、それをもって「映像削除」を求めうる根拠となるかどうかは別問題である。
 
 一般の参拝者、通りすがりの人々から見える範囲においては、特にその根拠は厳格に示されなければならない。
 
 もしそれが「撮影を認めるか認めないかは一切、被撮影者たる靖国神社の許可が必要」というのであれば、「私」であるべきであろう。
 
 少なくとも、宗教法人としての優遇措置から脱して「個人宅」的でなくてはならない。

 また、何らかの放映意図をもって撮影されている事を相当程度予見できる状態(何らかのメディアで発表する意図をもって撮影している事が想像できる程度)で知っていて、それができあがるまで何も注意しなかったとすれば、「手続論」の根拠は「より」弱くなる。
 
 その場合における「手続き違反」は、信義に反すると言えるだろう。 
 
 
  ・・・・・   ・・・・・    ・・・・・    ・・・・・    ・・・・・   ・・・・・

 
 一方の刀匠の方である。
 
 世間から隔絶したままでいたければ、取材を拒否すべきであった。
 
 己のプロモーションビデオを撮るのなら格別、何らかの映像に使われる場合には、編集意図が自分の意図したものと合致しない事があり得ることを当然の前提として認識しなければならない・・・というのは少し言い過ぎだろうか?
 
 概括的な同意をした後に、具体的な部分で不同意というのは、白紙委任をした後に「その委任部分は意図していないから委任を取り消す」というのと同じで、きわめて不誠実である。
 
 これは、国民の選挙権に似ている。
 
 「かっこいい」だの「やる気がありそうだ」とかいう感覚的かつ概括的に賛意をしめして選挙でその人を支持した後に、「いやあ、俺はそんな事望んでいないんだ」と言って批判するのは、その過失が己に起因する以上、呑まねばならない。(事実上呑まされるわけだが)
 
 実際にどの程度「具体的」な話し合いが持たれたのか分からないので、これ以上は何とも言い難いが、上記の様に概括的な同意に留まる場合は、反論権も薄いと言わざるを得ない。
 
 尚、「具体的」なレベルは様々あるが、己の存在を全く誤解されたくなければ、相当程度詳細なもので、編集をもってもイメージを崩せないほどのものを用意する他ない。
 
    
 ・・・・・   ・・・・・    ・・・・・    ・・・・・    ・・・・・   ・・・・・
 
 
 有村議員について。
 
 私はその存在を知らないし、恨みもない。
 
 その人が、「刀匠本人が出演場面を外してほしいと希望している」と国会で取り上げたとの事だが、単に伝言をしただけなのであれば、・・・何ともはや、議員とはその程度のものかと言わざるを得ない。
 
 議員としての見識を備えているのであれば、刀匠ご自身からその理由を聞いて、その主張の妥当性について検討し、何らかの評価の末に「国会で取り上げる」という「政治的行為」を行ったものと思いたい。

 が、焦点は「意見を変えさせたか変えさせなかったか」という一点に注目が集まってしまっている現状では、「立法府議員」としてしたこの政治的行為には厚みが感じられない。

 無論この点は、李監督にも問題がある。
 
 刀匠の方に、納得させるだけのものを提示できなかったという点で、表現者として敗北している。
 
 
 ただ、・・・そう考えると、「華氏911」に引き合いに出されたアメリカのブッシュ大統領は偉かったというべきなのだろうか?・・・ 
 
 
 この問題は、日本人が表現物に対してどう向き合っているのか、その洗練度を計る上での試金石となっている。
 
 恥ずかしい結論にならない事を祈りたい。

  

注)『当プログに対するコメント投稿上の注意

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